キス
〜あたしたちの場合〜









喧嘩をしては結局仲直り。もれなくキスのおまけつき。

さっきまでの威勢の良さはどこへやら。あたしは結局、キスの威力に負けてしまう。




ついばむような軽いキスから、息もつけないほどの深いキスへ。

体を駆け巡る熱と、そしてそれを知らず知らずのうちに欲しがるあたし自身に、彼はどう思っているのだろう?





キスのあと、目を開けるのがいつも恐い。
抱き締められたまま、俯いて広い胸に頭を預ける。


照れ臭いのを誤魔化すように。

『もっと』とキスを求める自分をおさえるために。




「・・・こっち見ろよ。」




頭上から聞こえる低い声に、あたしは目を閉じたまま首を振って答える。


「・・・じゃ・・・」


いきなりそのまま抱きかかえられて驚いたあたしを、彼はそっとベットに横たえた。


「ちょっと・・・」


何か言いかけたあたしの唇は、彼に塞がれて言葉を失う。

髪に、額に、瞼に、頬に、そしてまたあたしの理性を奪い去るほどの深い深いキスに、あたしの思考はとうとうストップした。







―――ただ今は、ずっとこうしていたい。








求め合うように、奪い合うように、彼からあたしへ。あたしから彼へ。

体中に降り注ぐたくさんのキスの雨に、そして独占欲の印に、あたしは耐えられず甘い声をあげ始める。



名前を呼ばれるたび、生きている実感が湧く。

あたしは、彼のそばにいるんだと―――。



与えられる痛みと不安、そしてやがて訪れる耐え難い快感に、あたしは彼に必死にしがみついた。



















―――そして今日もあたし達は喧嘩をする。仲直りのキスもいつものように。


それはいつも些細なことから始まるけれど、

その後の展開を、あたしは密かに楽しみにしているなんて―――――








誰にも言えない、あたしだけの秘密。















fin.












ちょっと18禁?そして短編です。内容はもちろんつくし×司です。たまにはこんな2人もいいかと。(2004/03/11)
そしてフェスでUPした類バージョンのお話はこちら。(2004/05/16)


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