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Lovers


 

 

 

 

 

 

 

『好き』

 

 

 

そのたった一言が最近、素直に言えるようになったと思う。

…以前のあたしなら考えられなかったことだ。

 

 

恋の力ってほんと、不思議だ。

泣いたり、嫌な気持ちになったり…辛くて逃げ出したくなることもあったけれど、あたしを強くしてくれた。

 

 

…どうして人は誰かを好きになるんだろう。

 

 

あたしの隣で、子供みたいな顔で眠っている道明寺の頬にそっと触れてみる。

指先で感じるぬくもりが、確かに彼はここにいるんだとあたしに教えてくれる。

 

 

「…好きだよ」

 

 

……ほら、素直に言えた。たった二文字の言葉なのにね。

 

あたしは愛しさを込めて、道明寺の頬を指先でゆっくりとなぞる。

くるくるの髪の毛も、長い睫毛も、あたしを見つめる優しい目も、喧嘩するたび憎らしく思うこの唇も…

 

 

「大好き…」

 

 

くすぐったい感触で気が付いたのか、道明寺が急にあたしの腕を掴んだ。

驚いているあたしと目が合うと、悪戯っぽい目をしてにやりと笑う。

 

 

「……もう一回、言えよ」

 

 

――――聞かれてた?

 

あたしはらしくないことをしてか、顔がだんだん火照ってくるのを悟られまいと誤魔化す様に笑う。

 

「え?え?何のこと?」

 

「てめぇ…」

 

とぼけたあたしの返事に、あいつは強い力であたしを押し倒した。

 

「言わないと……」

 

「…ひゃっ、ちょっと…」

 

顔に、髪に、首筋にキスの嵐。あたしはくすぐったくってとうとう降参した。

 

 

「言うから…ねっ…耳、貸して…」

 

 

あ、そういえば、あいつ耳弱かったっけ…?

あたしは『道明寺が滋さんに耳をかまれた事件』を突然思い出した。

何故か意地悪がしたくなって、あたしは言おうとするふりをしつつ、道明寺の耳の端をちょっと噛んでやった。

 

 

「う…わっ!」

 

 

驚いてばっと身体を離すと、あいつは真っ赤になってあたしを睨みつけている。

 

 

「…押し倒したバツですよーだ」

 

 

あたしはしてやったり、と笑うと、道明寺はゆでだこみたいな赤い顔のまま悔しそうに言った。

 

 

「…てめぇ、覚悟は出来てんだろうな?」

 

「え?何のこと?」

 

 

 

こんな時にさえ、意地?っていうか、かわいくなれないあたしはやっぱり以前と変わってないな、なんて思うんだけど。

……でもね、他の人には見せない、道明寺だけが知ってるあたしの顔だってあるんだよ。

 

 

 

 

あたしはふっと笑うと、青筋を立てている道明寺の頬に軽くキスした。

道明寺はわけがわからないといった表情で、キスされた頬を押さえてあたしを見つめている。

 

 

 

 

あたしだけしか知らないあいつの瞳。

誰よりも純粋で、いつだってまっすぐで……

 

 

 

 

 

2人の間に起こったいろんなことをふと思い出す。

あたしはにこっと笑うと、もう一度道明寺の耳元に口を寄せて、あたしにしか使えない魔法の言葉を囁いた。

 

 

 

――――この想いはきっとあたしの中で風化することはない。世界中で一番、誰よりも…

 

 

 

「…大好きだよ」

 

 

 

 

 

fin.






★2002年クリスマスイベントでUPしたお話です。★






   





 

 

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