――言葉を交わさなくても、お互いのことがなんとなくわかる、そんな恋に憧れて。
何も聞かず、何も言わず、ただ黙って抱きしめてくれた彼の暖かさに、あたしは涙が止まらなかった。
今日も隣で眠る類の顔を、先に目を覚ましてシャワーを浴びてきたあたしはじっと見つめていた。
じゃあ、あたしはどうしたい・・・?どうしたらいい?
穏やかに眠る彼の寝顔を複雑な思いで見ていると、重そうな瞼をこじ開けるようにして彼がゆっくりと目を覚ました。 「・・・おはよ。」 あたしはにっこり笑って彼に言うと、体を起こして不機嫌そうに目をこすりながら彼は言った。 「・・・何か嫌な夢、見た。」 「どんな夢?」 「あんたが、泣きながら俺にさよなら言う夢。」 心の奥を見透かされたようで、ドキッとしながらあたしは類の大きな手を取った。 「・・・そんなこと、言うわけないでしょ?」 「じゃ、その証拠見せて。」 「え?」 「オレから離れないっていう証拠。」 類はつないだあたしの手を、そのまま自分の胸に当てた。トクントクンと規則正しい心臓の鼓動をかすかに感じる。 「・・・牧野がいないとオレ、多分生きていかれない。」 あたしは思わぬ彼の言葉に、驚いて彼を見た。 「・・・それはあたしだって・・・。」 「・・・牧野が好きだ。他の男と話しているのを見ると腹が立つ。会えない時は、何しているのかって気になってしょうがないんだ。 「花沢類・・・」 類はあたしの肩にもたれさせたまま言葉を続ける。 「・・・ごめん。オレ、牧野が思っているほど大人じゃないよ。 弱気な彼の発言に驚きながらも、彼が本当にあたしのことを必要としてくれていると知って嬉しかった。 「・・・ばか。嫌になるわけないじゃん。むしろ、花沢類があたしに対して執着心を持っていてくれたことが嬉しいし。 彼は顔を上げて、嬉しそうにこっちを見た。 「・・・ありがとう。」 花沢類は極上の笑みであたしに笑いかけると、枕の下から小さな箱を取り出した。 「じゃ、オレから牧野に、形のあるとっておきのものあげるよ。『将来の約束』っていうのかな・・・。」 一つの予感に、あたしの心臓は大きな音を立て始めた。
「どういたしまして。」
「ひゃっ」 あたしはその感触に、思わず身をよじって彼から離れる。 類はそれだけ言うと、満足したかのようにあたしを抱き締めながら、一緒に眠ろうとまたベットの世界に引き込んだ。 「・・・今日はせっかくの休みなのに・・・。」
「・・・牧野がいないと眠れない。それとも、ベットから出られないように疲れるまで・・・する?」
・・ヤメテ。アタシノココロノナカニ、コレイジョウフミコマナイデ。
『Ever
After』と言うにはまだまだ遠いかもしれない、やっぱり障害の多いあたしの恋だけど、
fin.
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暗い終わり方で、しかもなんだか中途半端。やっぱり花男はつくし視点で書いたほうがしっくりいく気がします。 ・・・で、やっぱりルイルイは癒し系です。超能力でもあるのか君は、なんて言いたくなるよな千里眼の持ち主・・・。(2005/03/03) |